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「街を…出て行く?な、なんで急に!?」
「ドンゴラ商会を壊滅…皆殺しにしたことで、俺に賞金がついたんだ。だから…街を出て行かないといけなくなった」
「追い出された…ってこと?」
「……」
ルルは俺に詰め寄り、腕を強く掴む。泣きそうな顔をしている。こんな顔をさせるなんて、最低だな。
「私のせいって…ことだよね」
「違う、ルルのせいじゃない。俺が勝手にやったことだ」
「でも!私がリードに頼んだから!…ラミアさんは?ラミアさんはこのこと知ってるの?」
俺は首を横に振る。ラミアに言えば、絶対ついてくる。俺がラミアと姉弟だと知ってる奴は少ないから、ラミアに害はないはずだ。
「私が…私が出て行く!リードが出て行く必要なんてない!」
「ルル…」
「だってそうでしょ!私が頼まなければこんなことにならなかったのに…!」
「ルル…!!」
ルルの両肩を掴み、ルルの言葉を遮る。涙を流しているルルを、じっと見つめる。
「すぐにこの街のみんなに、俺のことが伝わる。そうなったら、俺の居場所なんてどこにもなくなるんだよ」
「でも…でも…」
「ルルは悪くない。それだけは忘れないでくれ。約束だ」
俺は笑顔を見せる。しかし、ルルの顔は曇ったまま。作り笑いって、ばれてるのかな。
「もう…会えないの?」
「…わからない」
「やだよ…行っちゃやだよ…」
「…泣くな。可愛い顔が台無しだ」
ルル抱きしめる。強く、強く抱きしめる。俺のために泣いてくれる、それが嬉しかった。
「会いにくるよ。ルルに…会いにくる。」
「…本当に?会いにきてくれる…?」
「ああ、約束だ。少しの間だけだよ」
「…うん、わかった。約束だよ。絶対、絶対だよ?」
「おう。俺は女の子との約束は破らないんだ」
ルルに背を向け、街を出る。
だがすぐに、ルルが俺を呼び止めた。
「リード!!」
「ルル…?」
「いってらっしゃい!」
ルルが、今までで1番の笑顔で、そう言ってくれた。
いってらっしゃいか…。
必ず、帰ってこよう。ただいまを言いに。
「さて…だらだら旅でもしますかね」
このあとすぐにアスリーに出会うことになるのだが、それはまた後で。
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