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「……」
「アスリー?回想終わったから、喋っていいぞ?」
「……」
「…え~と?」
はい、察しました。
察しましたよ俺は。アスリーさん、これ怒ってらっしゃる。
「お前さぁ、なんで怒ってんの?」
「これが…」
「え?」
「これが怒らずにいられるか!!」
アスリーが目に涙を浮かべ、俯きながら怒鳴る。口調も変わってるし、怒ってるってか、キレてる?
「おかしいよ、そんなの!リード何にも悪くないのに!」
「アスリー」
「意味わかんない意味わかんない!!私絶対認めない!!」
「え!?認め!?」
なんか認めてもらえなかった。こうなると長いんだよなぁ、この猫耳。
「もしもしアスリーさん。ここに大きい魚と小さい魚があります」
「え、どこ!?」
「例えだ、例え」
「……そう」
「あからさまに落ち込んだなぁ」
そんなにショックだったのか。さっき飯食ったばかりだろうに。まぁ、気にせずに話そう。
「大きい魚はたくさん食べれるが、味がイマイチだ。だが小さい魚は量が少ないが美味い。お前ならどっちを選ぶ?」
「え?えっと…美味しくないのは嫌だけど…たくさん食べたいし…。すぐには選べないかな…」
「そういうことだよ、アスリー」
「…え、どいうこと!?」
困惑した顔でアスリーは俺を見る。そんな顔も可愛い。
「さてと。先に風呂入っていいぞ~」
「ちょっと待って!なに、なんで今終わらせた!?なんでそんな1人で納得!?何事!?」
「これ、シャンプー買っといたぞ。お前これしか髪に合わないもんな~」
「話を聞けぇぇぇ!!」
「おおい!?降ろせ、スナイパー降ろせ!いや降ろしてください!」
そ、そろそろ本当に殺されるんじゃないんだろうか…
とりあえず落ち着かせ、スナイパーを降ろさせる。
「だからね?アスリーがさっき言ったことが、俺にはできたんだよ」
「さっきの?究極の2択のこと?」
「そう。その究極の2択を、俺はすぐに選んだんだ。自分の意思で」
「大切な人と離れ離れになるのに、自分の意思…だったの?」
「ラミアもルルも…大切だったから、離れることができたんだ。迷惑かけたくなかったからな」
「……」
ラミア達と街に残るか、それだと確実に迷惑がかかる。だから俺は街を出た。大切な人を傷つけないために。
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