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「…それでも、私は許せない。許せるわけないよ…」
「いい子だな、アスリー」
「…別に。私は、そーいうのが大嫌いなだけ。だから…」
アスリーはそっぽを向く。少し顔が赤いように見えた。
そういうところがいい子なんだよな………ん?だから…?
「乗り込む」
「俺の街にですか!?」
「当然だよ。とりあえず、街で1番偉い人にぶっ放せばいいよね?」
「レーザー砲を!?」
「心配しなくていいよ。…灰すら残さないから…」
可愛い顔して恐いこと言ってんだけどこの人!!やばいぞマジでやる顔だこれ!!
「ま、待ってくれアスリー。お前がそこまで怒る必要ないだろう…?」
「なんで?」
「なんでって…。これは俺のことで、アスリーには関係ないし…」
「関係…ない?」
「ああ。だから、お前が怒る必要は…」
バガンッ!!
「……え?」
アスリーが壁を殴りつけ、俺を鋭く睨む。アスリーと出会って2ヶ月ほど経つが、こんな顔は初めて見る。
壁…穴空いちまってるんだが、まさかこの力で殴られたりしないよな?
「関係ないの?」
「え、えっと…?」
「リードが苦しんで、悲しんで、辛い思いをしたのに、私には関係ないの…?」
「ーーっ!!」
声がいつもより低い。まだ俺を睨んでいる。怒っていることは確かだ。でも…なんだろう。伝わってくるのは怒りなんかじゃなくて……
「リードは言ったよね、私が特別だって。だったら!私が怒るのは普通でしょ!当然のことでしょ!」
「ア、スリー…待て…」
「リードが苦しい思いをした!だから私も苦しい!悲しい、辛い!リードにとって私が特別なように、私にとってもリードは特別なんだよ!!当然のことでしょわぷ!?」
「だから…待てって…」
伝わってくるのは怒りなんかじゃない。俺じゃ受け止めきれないくらいの…優しさ。
思わず抱きしめてしまった。
「アスリー…」
「リ、リード?」
「キスしていい?」
「殴っていい?」
「ごめんなさい冗談ですマジで」
アスリーには悪いが、ふざけてないと理性が保てん。少し泣きそうだわ…
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