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「どこで俺のこと見てたんだ?」
「遠くからね。これで見てたんだよ?あんな顔してたら、殺す気もなくなるんだよ。」
「はは…それもそうか」
そんなひどい顔してたのかな。殺し屋とは言え、年下の女の子に気を遣われるなんて情けない。
「…それで?なにか嫌な事あったの?」
「まあな。簡単には立ち直れない事があったんだ。情けなく、ずるずると引きずってんだよ」
「そ、そうなんだ…」
「自業自得なんだがな。ホントに…俺は何やってんだろうな…」
「……」
アスリーが悲しそうな目で俺を見ていた。しまったな。関係ない子にするような話じゃなかったな…
「ごめん、今の忘れてくれ。こんな話されても困るよな」
「ううん…。なんか…大変だったんだね…」
「……」
アスリーは俯いしまう。他人のことでこんなに落ち込めるのか。本当にいい子なんだな…
「あ、あのさ…」
「うん?」
「ここ…横になる?」
「……え?」
アスリーが自分の太ももを触りながら恥ずかしそうに聞いてきた。えっと…これはつまり?
「ひ、膝枕してあげようかって聞いてるの!」
「い、いいのか?本当に?」
「い、いいから!早くするんだよ!」
「なら…お言葉に甘えて…」
これは一体どういう状況なのだろうか?俺的にはかなり幸せなんだが、何故にいきなり……って、柔らか!膝枕ってこんな気持ちよかったか!?
「私、自分のこと偉そうに殺し屋とか言ったけど…実はね?まだ1人も殺したことないんだ…」
「そ、そうなのか?」
「うん。生きていくために仕方なく殺し屋になったけど…いざとなると、どうしてもできなくて…」
「…なんで殺し屋なんかに?」
「お父さんとお母さんが事故で死んじゃって。しばらくは貯金でなんとかなったんだけど…さすがに限界でね。私まだ16だから、どこも雇ってくれなかったんだ…」
両親が亡くなってたのか…。俺より全然辛い思いしてんじゃねえか…。なのに…俺は…
「辛くても、苦しくても。生きないとダメなんだよ。私が…リードが、いなくなったら悲しむ人がいるんだから。」
「……っ!!」
「離れてても、絶対私達のことを思っててくれてる。だから、私達は笑ってないとダメなんだよ。だから…一緒に笑おう?」
俺の頭を撫でながら優しく笑うアスリー。ああ…ダメだわ。これは反則だ。
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