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それから数日。状況は一向に進行することなく、俺は日々窓際で茶をたしなむ生活が続き、アスリーは発狂していた。
「あああああ!!もう!!なんでできないんだよ!?理論的には合ってるはずなのにぃ!!」
「荒れてんなぁ。まあ、数日も籠ってるし、仕方ないか…」
「なぁリード。やはりアスリーには諦めてもらった方が…。私のために、無理することも…」
「今更何言ってんですか…」
発狂アスリーは確かに恐ろしい。いつ八つ当たりが飛んで来るかわからんからな。逆を言えば、それだけアスリーも本気になっているということだ。止めた方のほうがあとが怖い。
「そうだよコハクさん。私のことは気にしなくていいの。これはもうコハクさんだけの問題じゃないんだよ。私のプライドが諦めることを許さないんだよ。」
「そうだぞ。私怨も入ってきてしまってるが、心配するな。…そうだ、気分転換にみんなで散歩にでも行かないか?」
「あ、いいね!コハクさん、一緒に行こ?」
「…ああ、そうだな」
不安そうな顔を浮かべるコハクを連れて、家の外へ。外の空気でも吸って、リフレッシュするのも悪くないだろう。
「アスリーはどこで行き詰まってんだ?根本的な部分は解決してるんだろ?」
「うん。できるだけ脳に近いところに付けたいんだよね。指輪とか腕輪じゃ、あんまり効力は期待できないから。問題のある部分に近いほどいいからね。」
「なら、ネックレスとかはどうなんだ?」
「…今試してるんだよ。それが上手くいかないの」
しまった、進行形でそこに悩んでたのか。アスリーの口ぶりからすると、コハクの症状はかなり深刻っぽいからな。妥協ができない状況なんだろう。ここはやはり、ストレス発散の為にも、アスリーに好物を与えるべきだな。
「アスリー、コハク。俺は一旦山から下りる。」
「え、なんで?」
「お前の好物を持ってくる。待ってろ。新鮮な魚、持ってくるぜ!」
「魚!?わかった、待ってる!5分で帰ってきてね!」
「5分は無理です」
鬼かこの猫耳は。全力で下っても1時間以上かかるわい。まぁ、できるだけ頑張ります。
「コハクは?何か欲しいものあるか?」
「…あ、以前マリリンが言っていた、ぷろていん?なるものを…」
「断固拒否する!!」
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