「い」は、いるかの「い」

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「ねぇ、何かあったんでしょ?」 沈黙のなか、葵ちゃんが口を開いた。 あーやっぱりバレてる。 「何が?」 「だって、テンションがいつもと違う。」 「あ、いや、ね、よーろーのさぁ、寝癖がすごくてちょー面白くて!!!!」 「違うでしょ。ちなみに言うと松本は坊主だから、寝癖はつかない。」 やばす。 あーもー無理。 ごまかせないよ。 じわっと目に涙が溜まってきた。 バレちゃったな思う反面、ちょっと嬉しいのは友情ぱわー? 「あのさ、話していい?」 「おうおう、どーんと来い!」 ニコニコ笑う葵ちゃんにつられて、一緒に笑う。 いい友達だ。 私って幸せだな。 「自分でもよく分かんないだけど、嫌なの。」 「何が?」 分かんない…けどたぶん嫌なのは、 「京夜に彼女ができたこと?」 「何で?何好きなの。安藤のこと。」 「うん。好きだよ?」 がたん。どしゃーん。 うおう。葵ちゃんが椅子から転げ落ちた。 「え!?じゃあ解決じゃね?」 えー話が読めないー 「だって、好きなんでしょ?」 「京夜のこと?うん。」 「恋愛的にでしょ?」 「はえ!?」 やべ。 変な声でた。 「違うって。幼なじみだから、好きなの!分かる?」 「まず私はお前らの関係が分からん。」 「幼なじみでしょ?」 それ以上でも、それ以下でもない。 だって、いつから一緒だったなんて記憶がない。
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