廃墟に化物は憑き物だ

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【はははは、あははははははははは!!あ~…なんやえっらい乱暴な起こし方ですなぁ……。まぁええですわ。しっかし、なんとまぁ、ほんまに不老不死の肉体をくれるやなんてなぁ。利用価値があるから言うて、相手はきちっと見なあきませんで。ワタシのほんまの目的、見誤っとるくせに。遠聴式まで使わんとはまぁ、えっらい自信ですなぁ。まぁこの不老不死もあんさんらも、せいぜい使わしてもらいますわな。……しっかし、いつまで人の身体に喰らい付いてるつもりや?自我を失くした出来損ない風情が、さっさと退きなされ】 訳の分からない事が、次々と口をついて出て来る。まるで、自分の身体じゃないみたいだ。 目が勝手に化物を睨む。喰べることしか頭のない化物の顔に、恐怖の色が宿る。信じられないことに、口を離して一歩下がる。 【ほぉ、知能はなくても本能で分かるんですなぁ。そうや、モルモットはモルモットらしくしとりなされ。はてさて…………ふぅむ。霊力の巡りも悪ぅないようで安心ですわ】 立ち上がって、ぽんぽんと腕や腹を摩りながら全身を眺める。 【食人鬼の血と力の拒絶も問題ないようですな。このまま時間が経てば馴染みますやろ】 なんだ、これ。何を喋ってる。嫌だ、怖い。こんなの俺じゃない。 【おやまぁ、そんなに怯えなさんな。ワタシはあんさんの味方ですで?その内思い出したらええですわ。今はまだ、忘れときなされ。まぁ、まだ早い上に乱暴な起こし方されたさかい、まだ眠いですわ。ワタシは眠るさかい、ほなな、零】 身体の感覚が戻ってくる。なんだったんだ今の。でもなんだか、懐かしいような切ないような感情が押し寄せてくる。 「あっ」 足から力が抜けて行く。やばい。このまま倒れたらまた喰われるんじゃ……。 「炎よ、灼き尽くせ」 再び襲いかかろうとした化物と針山を、蒼い炎が舐めるように覆い尽くす。
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