廃墟に化物は憑き物だ

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こんな喰われてボロボロの姿を、あいつらに見られる?どうしよう。この姿を見て、あいつらはどう思う? 「零!」 「あっ……」 裕司達の声が聴こえて、咄嗟に一番酷い首筋の抉られた傷を手で隠して振り向く。 【零、そんな顔すんな。……あの時なんで離れたんや。こうなるって分かっとったはずやのに】 「雨……?」 最後は小さ過ぎて聴こえない。てか、お前がそんな顔するなよ。 「零……」 「駄目だよ、近づいちゃ」 俺に駆け寄ろうとしたところを、祓い師が杖で遮る。 「なんで近づいたらあかんねん!あんな怪我しとんのに!はよ手当てせな!」 「今は駄目なんだよ。危ないから」 危ない?危ないって、俺の事……だよな?俺が、いつ化物に変わるか分からないから? その時だった。 どくんっと、心臓が、高鳴る。 「ぅ……あっ…ぁあ、あぁぁあぁ……!ああああぁぁぁあぁあぁぁぁああああああああぁぁ!!」 あまりの痛みに立っていられなくなって崩れ落ちる。 痛い痛い痛い熱い痛い熱い熱い熱い熱い痛い熱い痛い痛い痛い痛い熱い痛い痛い痛い痛い熱い痛い! 全身が引き裂かれるような痛み。灼けるように熱い喉。死にそうなくらいの飢餓感。 なんなんだよ、これ!?全身が痛い。喉が熱い。腹が減って死にそうだ。 「れ、零…?」 声が聴こえた方を見る。人が、三人。あれ……?大切だったはずなのに、誰だっけ? それより、腹減ってるんだ。そうだよ。美味そうな人間(肉)が目の前に三人もいるんだ。腹が減ってるんだから、喰べないと。 「理性完全に吹っ飛んじゃったみたいだね。あまりの空腹と激痛で、友達さえ肉に見えてるのかな?」 【なぁ祓い師。お前なら、ほんまに零を助けられるんやな?】 「そうだね。助けてあげるよ。でも、助かるかは君次第だ。僕を喰うつもりで来なよ。その方がやりやすい」 覚えてるのは、喰うつもりで祓い師に飛びかかった事。そして、 「食人鬼は手加減するとこっちが殺られちゃうからね。手加減しないから、痛くても後で怒らないでね」 不敵な笑みを浮かべた祓い師と、銀色に輝く眩い鎖の形をした光。
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