始まりは呆気なくやって来る

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「へっ……?はぁっ!?無理!無理無理無理無理無理無理無理!!絶っ対無理!死んでも無理!!廃墟なんて絶対行かねーからな!」 真夜中のコンビニ前。しんと静まり返った中で俺の叫び声が響く。 「そんなつれないこと言うなって。な?詫びにセブンハーマスのパンケーキとプリン奢ってやるからさ」 ぽんっと俺の肩を叩いて、悪戯っぽく笑う知り合いの針山。 「セブンハーマス……」 一瞬迷いかけたけど、無理なもんは無理だ。怖いもんは怖い。 「いやいや!いくら好きなもんでも騙されねーからな!祐司ぃ、こいつに俺がどれだけ怖いもん苦手か説明してやってくれよぉ。お前なら幼稚園からの付き合いだし分かってくれるよな?」 「うーん、お前には悪いけど、異常なくらい怖がりなお前がいたら逆に怖くなくなって楽しくなりそうだなって思ってるから、却下だな」 そう言って意地悪くにたりと笑う幼馴染みの二階堂 祐司(にかいどう ゆうじ)。針山は祐司と同じバイトで、祐司繋がりで知り合った。 「うわあああああああああ!祐司の裏切り者おぉぉぉ!その代わり絶対奢れよ!たらふく奢れよ!」 「分かってるって。なぁ祐司?」 「俺は知らん。針山が言い出したことだしな。あ、どうせなら結衣と彩奈呼ぼう。人数が多い方が盛り上がるし、零も少しは怖さが紛れるだろ?」 そんなとこ気遣ってくれるなら、最初から廃墟なんかに誘わないでくれよぉ……。
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