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【いつも思っとったんやけど、動物限定の霊媒体質ってなんやねん】
雨が祐司の連れて来た動物の霊を見ながら不思議そうに言う。
「お前が分かんねぇんなら俺だって知らねぇし」
死んでる動物にも生きてる動物にも昔から懐かれやすいからなぁ祐司。
祐司の傍にいるだけで満足するのか、いつの間にか成仏しちゃってるし。これで視えてないのが不思議だ。
「よぉ零、ドタキャンしなかったんだな」
「ドタキャンしたくてもお前に引き摺られるからな」
「お、分かってんじゃん。さっきお前の家寄ったらいなかったから逃げたのかと思ったけど、良かった良かった」
「その前に俺ん家わざわざ寄ったのかよ。暇人かお前は」
「だって零さんのドタキャンの数、十五回の内八回ですよ。後の七回は祐司さんに引き摺られてなんとか。廃墟探索に関しては、零さんの信用ゼロですって。名前の通り零(ぜろ)です」
彩奈がにっこり微笑んで毒を吐く。いつも思うけど、何この子怖い。魔女に向いてる気がする。
「とりあえず行こうや!ここで漫才してても時間の無駄やし!」
言いながらもう走ってるし。結衣はせっかちだからなぁ。元気いっぱいなのはいい事だとは思うけど、限度ってものがあるよな。
「ほら零。最後に歩いてこっそり逃げるのはもうきかないぞ?俺がちゃんと面倒見てやるから。な?」
「や、やっぱダメ?」
【なんや?そんな阿呆な作戦練っとったんかいな?往生際悪いで零。男やったら腹括りぃな】
いや、もう男らしさなんていらないし。チキンでいいし!
「ダメだ。針山も逃げないように左腕抑えてくれ」
ひ、ひいぃぃぃぃ……!!
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