廃墟に化物は憑き物だ

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「ぎいぃぃゃあぁぁあぁぁぁあああ!?いやぁぁあああ!今尻触られた!!ビッチな霊に尻触られたー!」 廃墟に入って早三十分。。流石廃墟。幽霊さんがいらっしゃるいらっしゃる。裕司にしがみつきながら泣き喚く。 【ビッチとは失礼ね!この糞ガキ!】 二十代半ばと思われる茶髪に化粧バッチリな、ギャルっぽいお姉さんに尻をもろに触られた。顔は綺麗だけど、頭からもろ真っ赤な血を流してます。 「ビッチだろ!?人の尻をもろに触るとかビッチだろー!いぃぃやあぁぁあぁぁああぁ!変態な幽霊に襲われる!裕司助けて!」 涙目で訴える、が。 「すまん、俺は幽霊見えないからな」 「私も勿論見えへんでー」 「零さんの怖がり様、本当面白いですよねぇ」 俺は視えないし聴こえないお前らが羨ましいよ……。泣きそう。泣いてるけど。 【その辺にしたってくれへんか?こいつ異常な程の怖がりやさかい、害のない自分みたいな幽霊でも怖がりよるんや。自分らをどうこうするつもりはないさかい、こいつらは見逃したってほしいんやけど、あかんか?】 ああ、雨!なんだかんだ言って優しい奴! 【私だって、その子をどうこうするつもりないわよ。ただ好みの形の尻だなって思っただけで。そんなんじゃなくて、あんた私が視えるみたいだし、言ってやらなきゃって思ったのよ】 「……なんか、あんの?」 嗚呼神様。いるなら無事に帰してください。お願いいたします。 いやいるのは知ってるけど。 【私みたいな死んでる奴には見向きもしないけど、生きてる人間は見境なく襲う化物、まだここにいるのよ。最初入って来た時も人間食べてたし、さっきだって……。悪い事言わないからさっさと帰りなさい。お姉さんの忠告は聴いとくものよ】 うわぁ……。来なきゃよかった。俺、いくら神社の息子でも本格的なオニ退治、やった事ないのに。 【変な気配はするけど、そんな禍々しい気配感じられんけどなぁ。まぁ俺がいるさかい、大丈夫やろ】 【なんでもいいからさっさと帰りなさいって!妖怪とかそんな知識ないけど、あれはヤバいのよ!】 「な、なぁ裕司、そろそろ帰らねぇ…?」 「どうした?まだ見てないとこ沢山あるぞ?」 「ち、違うんだよ……ビッチだけど親切な幽霊が何かいるって…それに……」 悪寒が止まらない。嗚呼嫌だな。こういう時は決まって……悪いモノがいるんだ。
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