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去っていこうとする魔王。
「そう言えば荷物は?私の部屋に置いてきたってさっき言ってましたけど…」
ふと思いだし、問いかける。
「荷物はもうこの空間の中に飛ばしといたから取りに帰らなくても大丈夫だよ」
「なにそれ便利」
「でしょ」
じゃあお騒がせしました、と光に言い魔王は真っ黒な空間に体をつっこみ、最後に開いた裂け目を中から閉じた。
先程とは程遠い静けさが戻り、まるで
嵐が過ぎ去った後のようである。
その場にポツンと一人取り残された光はしばし棒立ちになっていた。
「…夢だったのかな」
最近バイトに忙しかったせいで夢でも見たのだろうか。だとしたら何とも馬鹿馬鹿しい夢だな、と光は思った。
どうせ見るんならこんな道ばたじゃなくて布団の中がいい。疲れたし。
こうして光はまた家へ向けて一歩踏み出した。
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