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そんなこと期待されたら助けなきゃいけなくなっちゃうでしょーが、という聞き覚えのある声が聞こえた。
「光、足速すぎ。置いてかないでよ」
これはどうしたことか。別れたばかりの自称魔王がこちらへ歩いてきている。
しかし出会った時の格好ではなく、何故かどこぞの会社員みたくスーツに身を包んでいる魔王。
かっけぇなあ、とかそんなことじゃなくて助けに来てくれたのか、この男(♂)は。
「離れないでって言ったのに。変な人に絡まれたりするでしょ」
そう言いながらやんわりナンパ男から光を引き剥がし、呆けているままの光を自身の腕の中に閉じ込めるという暴挙をしでかす。
いい匂いしてるのがなんかムカつくなあと思う光。
やらかいなあ、これはまずいなあ、なんか男のサガとかその他もろもろが、と思う魔王。
完全にナンパ男を無視して雰囲気(?)に浸る二人。
「ねーさんの彼氏か何か?」
しびれを切らしたナンパ男が魔王に問う。
「見て分からない?これ」
自信の左手をナンパ男に見せつけながら言う魔王。
そこにはシンプルなデザインの銀の指輪が薬指にあった。
ふと光も自分の左手を見てみるといつの間にか薬指に魔王と同じものが輝いていた。
「ダンナいたのかよ、先言えよなあ」
そう吐き捨て、チャラ男は背を向けて去っていった。
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