第1章

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すぐに手分けして手の空いていた保護者で探し回った。 日程の違う中学生だった私の母にもその連絡は行き、クラブ一丸で希ちゃんを捜索した。 ーーーーー数時間後。 会場とは全く別方向の雑居ビルの下で倒れている女の子が見つかったと、連絡があった。 即死だったそうだ。 階段の踊場にあった荷物から、それが希ちゃんと断定された。 その荷物の中には、小さい頃からずっと続けていた希ちゃんと私の練習ノート兼交換ノートがあって。 「新体操をすることは、間違ってたの?」 そう殴り書きが遺されていた。 ーーー私はあの日から、ハーフシューズが履けない。 悠花さんにえらそうに言ったけれど、投げつけた言葉が自分自身に戻ってきて、大きく突き刺さる。 私は………… 悠花さんと何も変わらない。 歩いてるふりをしてるけれど、 目を閉じて、ごまかしてるだけだ………。 「ーーーらっ!おい、羽村ってば!!」
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