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「………」
「………」
すみれちゃんにヘンなこと言われたせいか、妙に緊張する。
「おとなしいね、もう酔った?」
「い、いえ」
「そ」
小さく笑う先生をちらりと盗み見ると、なんだかいつもと違った雰囲気で。
「先生……、疲れてますか?」
「んー、マァ最近部活が忙しいからねぇ。
この前の試合、勝ち上がったから来週は泊まりで引率だし」
少しシャープになった横顔を見て、罪悪感がわきあがる。
先生に無理、させちゃってる……。
「くくっ、なんでアンタがそんな難しい顔してんの」
「だって………」
赤信号で止まると、体を私に向けた。
ハンドルに腕を乗せて空いてる手で私の髪の毛を耳にかける。
長い指が肌を這う感覚に、ゾクゾクと全身が粟立つ。
「………耳、弱いネ」
「~~~~っ!!……いじわる」
頬が熱さでチクチクするのを感じながら先生を睨んでみるものの。
「今頃知ったの?そりゃビックリ」
なんてシレッと切り替えされてしまう。
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