第1章

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「………」 「………」 すみれちゃんにヘンなこと言われたせいか、妙に緊張する。 「おとなしいね、もう酔った?」 「い、いえ」 「そ」 小さく笑う先生をちらりと盗み見ると、なんだかいつもと違った雰囲気で。 「先生……、疲れてますか?」 「んー、マァ最近部活が忙しいからねぇ。 この前の試合、勝ち上がったから来週は泊まりで引率だし」 少しシャープになった横顔を見て、罪悪感がわきあがる。 先生に無理、させちゃってる……。 「くくっ、なんでアンタがそんな難しい顔してんの」 「だって………」 赤信号で止まると、体を私に向けた。 ハンドルに腕を乗せて空いてる手で私の髪の毛を耳にかける。 長い指が肌を這う感覚に、ゾクゾクと全身が粟立つ。 「………耳、弱いネ」 「~~~~っ!!……いじわる」 頬が熱さでチクチクするのを感じながら先生を睨んでみるものの。 「今頃知ったの?そりゃビックリ」 なんてシレッと切り替えされてしまう。
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