第1章

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「……アメ、食べる?」 思ってもみないセリフに、一瞬ぽかん、と忙しかった脳に穴があく。 「た、べません」 「じゃ、しりとりする?」 身に覚えのある会話に、はっとして先生の横顔を見ると、ニヤリと口角をあげていて。 「………しません」 「あと、ナンだっけ?」 「……トランプ」 「クッ、そーそートランプ」 横目で私をチラリと確認して笑みをこぼした。 「しりとりなんて、いつが最後だろな」 軽快に笑う先生につられて、私も頬が緩む。 「私は先週しました」 「ははっ、相変わらずだな」 再び赤信号で停車する車。 ふと視線を感じて先生をみると、柔らかく微笑んでいて。 「?」
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