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「アンタも集中しなサイね」
おでこにピシリ。
デコピンが与えられた。
「………バレましたか?」
上目遣いで先生を探ると
「バレバレですネ」
ニヤリ、意地悪に片方の口角だけ上げていた。
「………ひいきだ………」
「ああ?なんか言いましたカ。
口動かす暇あったら、手動かせ、手を」
「くうううっ」
見事な切り捨てっぷりに、苦笑いがもれる。
シャーペンを握りしめ、悔しそうに唇を噛みしめる隣の柴田君が心底気の毒に思えた。
「………羽村休憩していいよ。アンタはメドついたでショ」
「あ、はい」
「じゃ、俺もそろそろ………」
「ほおー。休めるんだ?お前ソレで休めるの。
ヘェー。感心するナァ」
「少年、無理だ。勝ち目はない。やれ」
「………はい」
「がっ、頑張って」
小さい声で応援すると、来たときより痩せたような顔の柴田君がコクリと頷いた。
不意に先生が、すっと立ち上がる。
どこ行くんだろ、と目で追うと
「タバコ。
切れたからそこのコンビニで買ってくる」
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