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突然後ろから声かけられて、ビクッと全身が跳ねる。
恐る恐る振り返ると、自転車にまたがった柴田君がニカッと笑っていた。
「どーした、ぼーっとして」
「あぁ、うん」
「なんで制服?なんか元気ないし」
「……今日、法事だったから……」
「ふぅーん」
思わず俯く私に、柴田君はそれ以上聞いてはこなかった。
「な、羽村!大森公園に来る移動販売車、知ってる?
すっげー旨いらしいんだけど行かない?
俺腹減ってんだよねぇ」
「あ、待って」
私の返事を待たずに、自転車にまたがったまま、地面を蹴飛ばして先を行く。
「なんか柴田君て、いつも自転車だよね」
「そーかぁー?高校生なんて、そんなもんだろ」
「どこにでも現れるし」
少し後ろを歩く私を振り返りながら、柴田君が得意げに胸を張る。
「俺、フットワーク軽いからねぇ!家にいてもかーちゃん勉強、勉強うるさいし。
この前なんて、ダチ3人と海まで行ってきたぞ」
「うそっ!」
「ホント!泳いで帰ってきた。遊びすぎて、帰り地獄だったけどな」
大きな口を開けて豪快に笑う柴田君のペースに乗せられて、いつの間にか霧から抜け出していた。
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