第1章

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公園で柴田君オススメの移動販売車で、ワッフルを頬張る。 焼きそばを口いっぱいに詰め込んで 「ソースがいいな、ソースが」 と呟く柴田君に思わず笑顔になった。 あっという間に完食すると、あくびでもするような気軽さで、柴田君が口を開いた。 「その後……どーなの、冴島は」 「うん……」 暗くならないようにあえてそうしてくれる優しさが、染みる。 勉強を見てくれたあの日。 先生に一本の電話が入った。 そのまま黙り込んでしまった先生が、私を送ってくれた別れ際。 「全部終わったら、ちゃんと話す。 それまで……待てるか?」 苦しそうに顔を歪めて、じ、と私の瞳の奥を探っていた。 大きく、黒いもやに包まれていくような不安しかなかったけど、先生の瞳の強さに頷くことしかできなくて。 「あの時から、連絡ないよ。 私も、してない」 「そっか………」 「うん………」
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