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「ねぇねぇ、できた?」
「聞かないでー!もう終わったからいいじゃん。それよりこの後さ……」
ざわざわする教室。
試験が終了し、みんな解放感であふれている。
「やっと終わったねー。3人でどっか寄る?」
美妃がファーストフードやカラオケのクーポン券を机に並べていく。
「私、甘いもの食べたい!」
花菜がはしゃぎながらクーポンを見比べ
る一方で、早智は両手を合わせた。
「ごめん!彼氏と約束してる」
「やっぱりかー。花菜も彼氏出来たらそうなるよねー。遊んでくれる人いなくなっちゃうー」
嘆く美妃の頭を花菜がよしよしと撫でる。
「私もいないんだから、仲間だよ」
「でも、映画の約束取り付けてるでしょー?」
美妃が花菜の頭を拳でグリグリする。
「俺が遊んでやるぞー」
突然話に入り込んできたのは田口だった。
田口はカラオケのクーポンを手に取る。
「俺も行きたい。他にも誘おうぜ」
美妃は溜め息をつく。
「田口かー。私は早智と花菜がいいのにー」
「他に誰誘うの?」
花菜は田口に聞く。カラオケはあまり得意ではないから、よく知らない人とは行きたくない。
田口はにやにやする。
「成宮誘う?」
「え?」
花菜は困惑する。
一緒にカラオケは、想像したことがなかった。
上手いのだろうか。
なんだか想像出来ない。
「いいね!誘おうよ」
美妃が乗り気になる。
「えー?ちょっと面白そう。私も行きたくなってきた」
早智が頬をふくらませるのを、美妃が面白がる。
「彼氏持ちは、デートでもどこでも行きなさい。成宮ってカラオケ上手いの?」
「……俺も、部活仲間で行った時に聴いたぐらいだけど。普通じゃないか?」
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