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嫌がってる。
田口はメール見ながらヒーヒー笑っている。
いったい何てメールしたんだ。知りたい。
「ねぇねぇ。何てメールしたの?怒ってるんじゃない?」
早智と美妃は苦笑する。
「大丈夫だって」
「そうそう。花菜は気にしなくて平気だって」
「他にも誰か誘うか?成宮が嫌がるから、サッカー部の連中は誘えないし……」
「どうして?もしかして仲悪いの?」
花菜は首を傾げて聞き返す。
上手くいってないのだろうか。そうは見えなかったが。
「いや、仲は悪くないよ?ただヤローの中にいてほしくないんじゃね?」
「え?何の事?誰が?」
「もうボクの口からは言えません。あとが恐いので」
「恐い?なんで?」
「黙秘を主張します」
田口が片手を上げて言うが、明らかにふざけている。
「なんなのよー?」
「まぁまぁ、花菜。そのへんで許してあげて」
美妃が苦笑する。
そういえば、最近の美妃は樫原先輩の話を全くしていない。
今までなら、樫原先輩を誘って欲しいと懇願しそうなものだが、全くその気がないようだ。
やはり田中のせいなのだろうか。
「美妃、先輩はいいの?田口に呼んでもらうチャンスじゃない?」
花菜は意地悪く聞く。
「え!?」
早智がにやにやして煽る。
「そうだそうだ。最近全然聞かないもんねー。どういう訳か」
「なになに。サッカー部の先輩じゃなかったのかよ?」
田口が焦ったように身を乗り出してくるのを美妃が制する。
「田口には関係ないでしょー?絶対言いふらすもん」
「いや、マジなら言わないよ。だって、先輩は憧れてキャッキャと騒いでただけだろ?ファンみたいなもんでさ」
田口の一言に、美妃の表情が固まる。
「……確かに、そんなとこはあったけど……」
「だろ?だから、本命が出来たなら応援してやるよ。だから、誰なのか教えて?」
にやにやする田口に、美妃が溜め息をつく。
「だから、田口には言いたくないの!」
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