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ライバル宣言みたいなのはあったけど。
ライバルも友達のくくりにに入るんだ。
気づかなかった。
「もう友達だもんね?」
「う……うん」
友達かと聞かれて、違うと答える人がいるだろうか。
美妃があきれたように溜め息をつく。
「相原さん……見た目と中身が合ってない。見た目は清楚な感じなのに」
「よく言われる。ね、私も行くからね?」
愛美が花菜に顔を寄せて確認する。
念押しする愛実に、花菜は頷く。
「私も……相原さんと遊んでみたいかも」
花菜の発言に、愛実がぎょっとする。
「ちょっと!私は矢澤さんと遊びたいんじゃなくて、成宮と遊びに行きたいの!」
花菜と美妃が驚いて成宮充を見る。
充は別の話をしており、今の発言は聞いていなかったようだ。
「……別に、聞こえたっていいのよ。これだけ態度に出してるんだもん。いくら鈍くてもわかってるよね」
確かに、愛美の気持ちは一目瞭然だ。
愛美が溜め息をつく。
「それで、あの態度だもん。今は脈なしって事ぐらいわかってるわよ」
「……すごいね。尊敬」
「なによ、それ。嫌味?」
睨みつける愛実に、花菜は首を振る。
「そういうんじゃなくて……。すごいよ、その一途なところ。私なんか、昔の事でウジウジ悩んじゃって、進まない感じ……」
嫌な態度を取られたが、愛実を嫌いになれない理由がわかる。
彼女には、嘘がないんだ。
「おーい!行こうぜ」
田口の声に、会話が中断される。
カラオケ店に向かうが、愛実は充の隣を常にキープして歩いている。
愛実が一方的に話しているようだが、部活の話になると、充も相づちを打っている。
「……花菜。あれがライバルなのは、同情するわ」
「うん。……すごいよね」
あんな可愛い子に好かれて、嫌な気持ちにならないわけがない。
愛実はふとした拍子に、充の腕を触ったり、肩を叩いたりする。
そのボディタッチに、いちいち嫌な気分になる。
花菜は深い溜め息をつく。
「……あそこに割り込む勇気がない」
「な?すげーだろ?」
いつの間にか隣にいた田口がにやにやしながら言う。
美妃が田口の袖を引っ張る。
「いっつも、ああなわけ?」
「まぁ……。そうかな?」
「部内でも?」
「あからさまだな」
「成宮はそれを放置してんの?」
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