第11話

6/12
前へ
/31ページ
次へ
ライバル宣言みたいなのはあったけど。 ライバルも友達のくくりにに入るんだ。 気づかなかった。 「もう友達だもんね?」 「う……うん」 友達かと聞かれて、違うと答える人がいるだろうか。 美妃があきれたように溜め息をつく。 「相原さん……見た目と中身が合ってない。見た目は清楚な感じなのに」 「よく言われる。ね、私も行くからね?」 愛美が花菜に顔を寄せて確認する。 念押しする愛実に、花菜は頷く。 「私も……相原さんと遊んでみたいかも」 花菜の発言に、愛実がぎょっとする。 「ちょっと!私は矢澤さんと遊びたいんじゃなくて、成宮と遊びに行きたいの!」 花菜と美妃が驚いて成宮充を見る。 充は別の話をしており、今の発言は聞いていなかったようだ。 「……別に、聞こえたっていいのよ。これだけ態度に出してるんだもん。いくら鈍くてもわかってるよね」 確かに、愛美の気持ちは一目瞭然だ。 愛美が溜め息をつく。 「それで、あの態度だもん。今は脈なしって事ぐらいわかってるわよ」 「……すごいね。尊敬」 「なによ、それ。嫌味?」 睨みつける愛実に、花菜は首を振る。 「そういうんじゃなくて……。すごいよ、その一途なところ。私なんか、昔の事でウジウジ悩んじゃって、進まない感じ……」 嫌な態度を取られたが、愛実を嫌いになれない理由がわかる。 彼女には、嘘がないんだ。 「おーい!行こうぜ」 田口の声に、会話が中断される。 カラオケ店に向かうが、愛実は充の隣を常にキープして歩いている。 愛実が一方的に話しているようだが、部活の話になると、充も相づちを打っている。 「……花菜。あれがライバルなのは、同情するわ」 「うん。……すごいよね」 あんな可愛い子に好かれて、嫌な気持ちにならないわけがない。 愛実はふとした拍子に、充の腕を触ったり、肩を叩いたりする。 そのボディタッチに、いちいち嫌な気分になる。 花菜は深い溜め息をつく。 「……あそこに割り込む勇気がない」 「な?すげーだろ?」 いつの間にか隣にいた田口がにやにやしながら言う。 美妃が田口の袖を引っ張る。 「いっつも、ああなわけ?」 「まぁ……。そうかな?」 「部内でも?」 「あからさまだな」 「成宮はそれを放置してんの?」
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加