「なんだその指令」

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ついでに、だが那音がおちびちゃんってよんでいる紅って女は名前で大体想像つくと思うがグリム童話の『赤ずきん』の題名どおり赤ずきんって童わらしだ。 そのせいか、もう何百年も経つのに身体は子供のままで全く成長しない。 それを身長180の那音が身長140の彼女をよくおちびちゃんと呼んでからかっている。 俺が組織に入る前に何か色々あったらしいが、あまり進んで知りたいとは思わない。 面倒だから。 「話が逸れたね。そろそろ本題に戻すよ。智也も薄々勘付いていると思うけど、四天王の一人の毘沙門天様がおこした反乱はもう組織の手には負えないことになっているんだ」 「だろうな。あと、那音。裏切り者に様なんていらないだろ、呼び捨てで充分だ」 「……智也。まだ毘沙門天様を信じている妖怪もいるんだから、余りきわどい発言はしないでくれるかな」 「知るかよそんな馬鹿共」 「――全く、智也は……もういいや。で、四天王様が僕達に下さった『あの巫女の子孫を捜せ』だけどあの巫女ってやっぱりアノ人だよね」 「ああ。あの女しかありえないだろうな」 あの巫女の子孫、か。 そいつは、さっき神を嘲笑って何百年も続いていた風習をいとも簡単に変えたって話していた女だ。 そしてその女は、ニンゲン達が語っている多くの妖怪を手懐づけてあまつさえ悪霊化した奴等はまとめて封印してしまったという巫女でもある。 この話には少し語弊があるが、それを話していたらキリがないから今はやめておく。 「でもさ、巫女様の子孫を捜そうにもその子孫の方の特徴なんにも聞いてないんだよ」 「じゃあどうやってその子孫を探せって言うんだよ。女か男かも分からないんだろ?」 「僕に言われてもね……四天王様が仰るには、会えば分かるだって」 「そんな曖昧な情報で捜せと? ふざけてるのか、アイツ等は」 「だから、その言い方は止めなよ。誰が聞いてるか分からないんだからさ」 その変な指令とはいえ四天王のから命じられたものをまさか拒否するなんてこと、出来る筈もなく俺は久しぶりにニンゲンがたくさんいる都市に行くことにした。
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