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『鬼、が出た』
最近よく耳にするようになった噂話。
なんでも、昔に力が強いと有名で今では伝説となった巫女が眠らせていた鬼やら妖怪とかが封印の劣化のせいで出てきたらしく、そいつ等が夜な夜な人を襲って貪りついているらしい。
今や異国の技術を取り入れ始めた我が祖国は、まだ発展途上中。
例を挙げれば異国の服を自分用にアレンジして着こなす中、昔ながらの伝統とか文化とかで着物を着ている人がちらほらいる文化がまだ安定していないような時期。
だからこそこんな噂が広がり、全くと言って良いほど必要とされていなかった妖怪達を手懐けたり封印していたりしていた冒頭で言っていた巫女の子孫……つまり私の一族に多くの依頼が来るようになった。
だが、いくら一族総動員で捜索しても件の妖怪は出ず、結局不可思議な殺人事件だけが続いていき噂だけが大きくなっていくばかりだ。
そういう訳で、噂は噂。
鬼なんて居る分けないと私は思っていたのだが。
今、自分の目の前で起こってしまっていることに頬が引き攣るのを抑え切れないでいた。
さて、何故かと言われれば私こと瀬川 柊(セガワ シュウ)は、今人生最大の絶体絶命の危機に瀕しています。
そしてその絶体絶命となってしまった原因は、私が探せと命じられた件の鬼に追い詰められているからです。
妄言とか気がふれたとかじゃなくて本当にいるんですよ、今私の目の前に。
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