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今回那音が持ってきた上からの指令は最近四天王の1人毘沙門天の反乱による妖怪の暴挙についてだ。
仲がいい、とまではいかなかったがそこそこ協力して妖怪達の管理を行っていた四天王は一見何も問題がないように見えた。
一見、な。
ニンゲン達は何を思ってあの四大神を崇めているのは知らないが、あの四天王は一人一人の個性が強いのだそれも恐ろしいくらいに。
例えば四天王の一人、持国天はかなり……
やんわりと言えば、加虐的思考の持ち主だ。
これはニンゲンが作った持国天の像(邪鬼を踏みつけて仏敵? を睨みつけているそんなやつ)でも分かると思う。
そして同じく四天王の一人である裏切った毘沙門天はニンゲンが作った像こそ、邪鬼の上に乗った威厳ある姿だが実際は極度の怖がりで宝物ものに目がない。
要するに、何かと心が弱い。
しかも、話をよく聞いてくれるということで色んな奴に付け込まれ……じゃなくて。
頼みごと兼相談を受けていたから、誰が毘沙門天を誑かして裏切らせたのかが今だよく分かっていないのだ。
おそらく、ニンゲンを恨んで死んだ魂の妖怪が誑かしたと思うがそれも推測だから今は何も言えない。
毘沙門天が裏切ったということは、その配下である鬼神の羅刹と夜叉も裏切るということになって俺達の世界では御法度の『ニンゲンを喰らう』を手始めにやりだした。
俺達は、別にニンゲン達が想像しているみたいにニンゲンを喰い荒らすなんて真似はほとんどしない。
確かに、ニンゲンを喰らうのはそのニンゲンが持っている魂も喰らうことになるからほとんどの妖怪にとって妖力が増したり知識が増えたりと色々プラスになる。
だが、そんな風習はとある巫女が
『人間から産まれた妖怪もいるのに……なんだか、共食いみたいね』
なんてその時の妖怪を統べていた神に嘲笑いながら言ったらしく、その簡単すぎる挑発にのった神は直後に『ニンゲンを食べるべからず。ニンゲンの前に現れるのも禁止とする』という巫女の思惑道理の法律を作った。
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