03

2/4
646人が本棚に入れています
本棚に追加
/283ページ
 借りていた傘を返しにアロマショップへ向かう途中、アクシデントが起こった  よそ見していたせいで女とぶつかり、お互いの荷物をぶちまけてしまった  こんな街中で何やってるんだと、自己嫌悪に陥る 「すみません。怪我はありませんか」 「大丈夫。私のほうこそ、ごめんなさい」    急いで拾おうと屈んだ時、相手の動作と被り、至近距離で目が合った    その瞬間  鼻をかすめた匂いに、意識を丸ごと持っていかれる 「あなた『セント』の店員さんなの?」 「……え?」 「だって、この傘に書いてあるロゴ、私がいつも利用しているお店と一緒だよ」  そう言って微笑んだ女……女性は、かなり魅力的な部類に入るだろう 「雨の日に借りたので、これから返しに行くところです」 「ああ! そうなんだ」  メイクの必要も無い顔の造り  艶のあるセミロングの髪は、絶妙なバランスでセットされている  
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!