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 店長の勧めで、携帯の番号を伝えておいた  セントから連絡が来たのは、それからすぐの事だ  もう一度会えると思っただけで、自然と足早になる 「お、早かったな。もう来てるぞ」    喫茶コーナーを顎で示される  店長に短く礼を言って、足を進めた  窓辺のテーブル席で微笑んでいる姿は、映画のワンシーンのようだ     「また会えたらいいなって思ってた」    どう返事をすればいいか、わからない  急いで来たから、喉が異常に渇いている    水を飲むと、微かにミントの味がした 「……俺もです」    加住さんは満足そうに笑うと、テーブルの上の資料を片付け始めた 「散らかっててごめんね。もう少し遅いと思ってたから。高校生だよね? ……部活は入ってないの?」 「今日は休みなんで」 「そっか。何部?」 「化学部です」 「ええ? てっきり運動部かと思ってた。背が高いから……バスケとか、バレーとか。あ、サッカーも似合うかも」
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