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思ってもいなかった反応に心が落ち着かなくなる。
「俺以外の奴に、……優しくしないでくれ」
「顔を見せて。どんな悠介だって、僕には可愛くてたまらないから」
「……何だよ、それ」
「キス一つで赤くなって、照れてくれる。こんな顔を僕以外の人に見せたのかと思うと、嫉妬でおかしくなりそうだった――……」
ごめんと、吐息のような声が聞こえた気がして振り返ると、首筋に顔をうずめられた。
甘えてくる男の髪を撫でる。
「二度と、あんたを傷つけたりしない」
「悠介……」
「あんたの心と身体が俺を赦してくれるまで……何年でも何十年でも、待つから」
悠介の匂いを感じただけで、こんなにも満たされてしまう。
広い胸に身体を預けると、長い手足で閉じ込めるように抱き締められた。
背中越しの体温と鼓動。
「僕も……悠介に赦されたい。心を縛り続けた僕を、いつか――……」
その先の言葉は、悠介に奪われる。
自分のわきに僕の鼻先があたるよう、ぎこちない動作で後頭部を抱き寄せてくれた。
「あんたになら……一生縛られてもいい」
きっと、赤面しているのは僕だけじゃない。
不器用な優しさに包まれて、泣きたくなるほどの幸せを感じた。
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