第1章

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第1章

「……ふふふふ…。」 薄暗い部屋に一人の不気味な笑い声が響く。その顔は薄暗くはっきりしないがパソコンからの明かりで仄かにそれが青年だという事が分かる。青年はパソコンを見つめだらしない笑みをこぼしている。 と、そこにインターホンの音が響き青年はハッと我に返った。しかしまたすぐに、にんまりと笑みを浮かべ印鑑を素早く取りだし玄関へ向かった。 「お届けものでーす。」 届いたのは細長い形をした段ボールだった。軽い。配達員の明るい声が聞こえると同時に青年は印鑑を押し届いた荷物を受け取る。そして配達員が去ったのを確認すると勢い良く段ボールを開け中身を取り出した。 「待ってたぜ、のありん!」 届いたのは、キャラクターがプリントされた抱き枕だった。 そう、彼は正真正銘のアニメオタクなのだ。起動しっぱなしのパソコンには常にアニメやゲームが流れている。学校には通っているが、休みや暇があれば部屋にこもっている。 「入荷待ちしてやっと手に入れられたぜ…。」 その瞳はキラキラしている。 「……っ苦しい…!」 「……ん?」 青年は眉を寄せた。そして一度抱き枕を回転させながら見てみる、が何もない。気のせいか、と再度抱き締めると。
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