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「着いたよ、ここの3階」
エレベーターはなく彼の後ろに続き、階段を上がる。
古い物件なのか壁の白がグレーになってきており、年季が入ってるのが一目でわかる。
「女の子を家に入れるなんて、いつぶりかな」
それは本当なのかどうか疑わしいものだ。
ほぼ逆恨みだけど、私が惨めな気持ちになっているのに暢気に歩いている田原さんの後姿が急に憎らしくなってきて。
「別に、嘘つく必要ないんじゃない?」
鍵をひねり、ドアを開けた田原さんにとんでもないことを口走ってしまった。
「嘘?」
田原さんは全く意味がわからないと言った感じに小首をかしげ、私を見つめる。
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