第5話

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川島駅に着いた。 改札を出て駅構内を抜けると 冷たい風が冷やかすように頬を撫でて行く。 立ち止まり、コートの袖口を少しずらして時間を確認。 17時ちょっと前…か、早めに着いちゃった。 約束の時間までまだ1時間はあるし、どこかで時間を潰さなきゃ。 でも、この付近に本屋はなさそう。  仕方ない、ファーストフード店にでも入ろうかな…… 再び歩を進め、川島駅付近でウロウロしていた自分の足が変な格好のまま止まった。 あのガラス張りのカフェの向こう側に座っている人、田原さんに似てるな…… 一瞬、 異空間へ紛れ込んでしまったように、 車の騒音や、周囲のざわめきが消えて。  自分の視界に入った人物から目が離せず、釘付けになった。
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