第5話

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二人が立ちあがったのを合図に、棒立ちになっていた私の足もやっと動く気になった。 急いで角を曲がって更に小さな路地へ隠れ、 意味もなくバッグからスマホを取り出し、 体裁を取り繕うように画面を操作するふりをする。 別に、こんなカモフラージュをしなくても 通行人は私のことなど気にもとめていないのに。 何か、急に笑えて来た。 はは、そ…か。 私の他にも、いたんだね、そういう人。 そうだよね。 セフレになってくれって堂々と私に言った人だもの。 よく考えれば、他にもいないわけない…か。 「…………」 違う。 田原さんはそんな人じゃない。
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