第5話

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ドアノブに手をかけたまま、未練がましくもう一度振り向いたけど―――… 奇跡も何も起こらなかった。 当然だ、今、おめでとうって言われたのに。 何を、期待したの、私は。 自分がすごく惨めな女に思えてきて、 この場からすぐに立ち去りたい衝動に駆られ、 勢いよくドアを開けて外へと飛び出した。 「優…っ」 ドアの閉まる音とともに自分の名前が呼ばれた気がした。 だけど、 もはや空耳を信じて戻る気力はなくて。 階段をいっきに駆け下り、駅への道をひたはしりに走った。

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