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「付き合わない?俺ら」
彼の言葉が打ち上げ合図だった。
耳に襲い掛かる炸裂音と一緒に、一瞬の花のように咲き開いて、夜空へ儚く散っていく。
「…うん」
勇気を振り絞って、ようやく口にすることができた言葉はたったの二文字だった。
夢なのか現実なのかわからなくて、おぼろげに見つめる私は、もう彼から目を逸らすことなんてできない。
ひとり別世界をさ迷う私を捕らえたのは彼。
彼の大きな手のひらが、ほんのり赤く染まる私の頬を包み込んだ。
「んっ…」
彼の切なげな瞳が揺らいだその瞬間、またたく間に唇を塞がれた。
互いの息を絡めながら、熱を帯びた唇に翻弄される私は、もう彼しか見えていなかった。
夢じゃない、現実であるということを確信させてくれる甘いキスに酔いしれて。
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