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「……ってことで、楢崎はお父さんの仕事の事情もあって、過去に三回ほど外国を転々していたそうだ。
英語苦手な奴、積極的に教えてもらうように頼めよ。
難関でもあるうちの編入試験に軽々通るくらいだし、頭良いからな」
「先生、そういう紹介いいって。
別に頭良くないし。
ま、英語は得意なので、何でも聞いて下さい。
逆に、日本語は下手だと思うので、教えて下さい」
彼は目を細めて屈託のない笑顔を見せた。
馴れ馴れしくも、しつこさを感じさせない先生との会話に、どっと笑いが起きた。
はじめは少し無愛想で冷たいのかなと思ったけれど、全然違った。
彼は意外によく笑うのかもしれない。
褒められても、さらっと否定する謙虚さもある。
そんな彼の魅力にノックアウトされながらも、今後の私の人生に彼が深く影響していくなんて、この時は微塵も想像していなかった。
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