第1章

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「…だが受け取っていただきたい」 「いやいや大したことないですから!」 風呂敷の包みを押したり引いたり それを見かねた客が笑った 「そんならその金で団子買えばあいいじゃないか」 「そ、そうですよ!」 笹も便乗するが 「…む、しかし…」 桂は渋る すると団子屋の旦那が言った 「お笹に団子食わせてやんなあ お笹は甘いもん好きだ それにこっちも儲かるしな」 桂の目はそれはいい考えだと言わんばかりに輝いた 「旦那、この金で買えるだけの団子をくれ」 「…あんたあ… いくらお笹でもそんないっぺんに食えねえよ…」 「む…」 桂は手元の金に目を落とした 「桂さん、通えばいいんですよ たまに来て私にご馳走してください」 「…ではそうさせてもらおう」 桂は何かまだ考えているようだったが、笹の笑顔に押しきられたようだった
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