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かさばるこんな紙袋をなんで忘れていたんだろう。きっと緊張していたんだ。――母から、先生方に渡すようにとことづかっていた。
内田先生に渡そうと、急いで職員室に戻る。
入り口のドアが、わたしが開く前に開いた。
不可思議な現象。
と思ったときに、白いポロシャツが目に入った。
やばい、と思ったときにはぶつかっていた。
相手はどうやら男子。
鼻から思いきしぶつかり、バウンドしてわたしは後ろによろめいた。
――転んだときには必ず手をつくのよ。
と母から教わっていたが、後ろにすっ転ぶときはどうしたらいいのだろう。
などと振り返っている間に、尻もちをついた。お尻も鼻もものすごく痛い。反射的に鼻を押さえたままわたしはうずくまった。きぃん、と頭が痛む。さっきまで左手に持っていた紙袋はどうなったろう。中身がおじゃんかも。
相手の男のひとは動かなかった。使い込んだ感じの、白地に青のズック。――紺色のツータックパンツは明らかにここの制服。生徒だ。何年生だろう。
鼻を押さえたままなにげなくうえを見やると、
――息が止まりそうになった。
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