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戸口に手をかけ、黒髪の彼と戸のあいだからひょいと顔を覗かせるそのひとは、わたしと目が合うと、ぱああと形容してもおかしくないくらいにフレンドリーに微笑んだ。そして、あはっ、と笑った。
「――きみ。鼻の頭真っ赤になっとるけど、このうどの大木とぶつかったの?」
――男の子だ。
西洋人形みたいな可愛らしさ。外国人並みの明るい髪のいろで、てっきり女の子かと思っていた。――よくよく見ればもみあげのカットは男の子らしいカットだ。喉仏の特徴からしても。
その茶髪の彼は、職員室から完全にからだを出し、「マキってばさ。無駄にでかいんだからちゃーんと前確かめなきゃ駄目じゃん。女の子に痛い思いさせちゃあさ」
「うどとはなんだ。無駄という発言も撤回しろ。……だいたい、こいつのほうから勝手に飛び込んできたんだぞ」
「中学生、……んにゃ、小学生?」
わたしをじぃっと見てトンデモ発言をしてきた。
「……可哀想に。緑高(りょっこう)に来たばっかりに……」気の毒そうな目で見てくる。
それが、ふっと目を細める。
屈んで、目線の高さをわたしに合わせたと思ったら、「……ごめんね困らせちゃって」今度は憐れめだ。「きみ、お兄さんかお姉さんに会いに来たんでしょう? 名前、教えて? 連れてってあげるから」
いろいろと違うんだけど。
思わず頷きかける説得力。
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