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「まさか、ウチの生徒だったとはね」
二階へと続く灰色の階段を茶髪の彼が上る。彼の隣を黒髪の彼が歩き、私は二人の数段後ろに続いた。
「いや、予想はついてた」
って、おいおい。
「嘘だろ。なんで黙ってたんだよ」
「お前で遊んだ」
お前っていうより、私も含めてなんじゃない。
「ひっどいなあ。最近、どんどん性格悪くなってない?」
「俺もそう思う」
「自分で認めちゃってどうすんだよ」
「うるせえ」
「うるさいって。……まぁ、マキは静か過ぎんだよ。寡黙なのがマキのウリなんだけどさあ」
「売った覚えはねえ」
「そういう意味じゃなくてさ」
「あのー……」
ぱっと二人がこちらを振り向く。
茶髪は目を輝かせて。
黒髪は面倒くさそうに、片眉をひそめて。
「名前、聞いてもいいですか」
このままじゃ、私の中で永遠に黒髪と茶髪になってしまう。
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