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少年を部屋から見送った松陰は、とうに日も暮れ暗くなった空を縁側から見上げる。
未だ冬の名残の寒さは残るものの、空に浮かぶ月は春の月。
冬の澄んだ空気に冴え渡るものではなく、少し霞掛かった空気の中、幾分か柔らかさを増した光を纏う優しい月を……
三畳半の謹慎部屋からでも、見える月は変わらない。
その月の美しさを松陰は愛していた。
「今宵も 良い月が眺められそうですね。」
ポツリと一人呟き空を見上げれば……
「……?」
月と共に視界に入ったモノに松陰の目は釘付け。
あれは何でしょう?
手…、腕……ですよね。
軒から垂れ下がっているのは……
仄かに白く浮かぶ細い腕。
元来、好奇心の塊とも言える松陰は、何の躊躇もなく その腕を引っ張った。
ズルリッ……
ドサッ……!
「!!」
な、何故……!?
この上は屋根ですよ?
屋根の上に女子って……
しかも、この姿は何ですか?
松陰が引っ張っり、彼の上に落ちて来たのは……
……………全裸の女だった。
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