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「友ちゃん、おはよう」 私は少し先を歩く見慣れた後ろ姿に声をかけた。 「あ~しいか!!おはよう。しぃはもう友達出来た?」 「うん。そーだ、今度紹介するからさ、そっちのクラスの子も紹介して!」 「りょーかい♪ じゃあ、また昼休みに」 バイバイ、と友ちゃんは自分のクラスの友達のところまで走っていった。 友ちゃんこと柏木友華(かしわぎともか)は、私、森崎しいかの 中学生のときからの友達で、中学卒業と同時に染めた茶色い髪が良く似合う、きらきらした女の子。 「私なんかと違ってすぐ友達とかつくっちゃうんだろうな~」 つい、心の声が漏れた。 私も、友ちゃんみたいな子になりたいな。 セミロングのまだ何色にも染まっていない自分の黒い髪を触る。 ホントは茶色に染めてみたいけれど、似合う自信がないんだ。 私は、昇降口で上履きとローファーを履き替えるとすぐ横の階段を上がった。 6階・・・・・・遠っ! 私が入学した喜多高校は、制服は決まっているけど、髪を染めるのだけは一応OKで、学力も結構ある。いわば進学校。 だから、入学してからが大事、ってよく大人に言われる。 これからたくさん勉強を頑張らなきゃいけないの。 でも、全然イヤじゃない。 -中学時代、私はみんなとコミュニケーションをとるのが苦手だったから、友達は少なかった。 ・・・・・・仲良しになった子と はしゃべれるんだけど、男子とはあまり仲良くできなかった。私は決してかわいくないわけではないけれど、 第一恋とか興味なかったし、自分から話しかけたりもしなかったから、もちろんずっと彼氏もいない。 高校生になったら、自分は変わらなきゃ。とか、 彼氏作りたいなって思ったりもするけど。 そんな一応の期待を胸に、 私は4月から喜多高校に通いだしたんだ。
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