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今日も桜の舞い散る校門をくぐった。 「あ!!しいかちゃんだよね、おはよう~☆」 まだ5日しか通っていない自分の教室で後ろの席から声をかけられた。 声の持ち主は安田亜理紗。 席が前後だから初日からちょっとずつしゃべるようになったんだけど、意外にもすぐに仲良くなれたんだ。 「亜理紗ちゃん、おはよう」 「今日ね、係決めするんだって、一緒の係になれるといいな~」 「ホント!?ありがとう~」 「あとね、昨日の6チャンのドラマ」 「あ、見た~~!!もうカイトめっちゃかっこよかったよね~!」 「やっぱり見た??私、カイト出るの直前に知って、しいかちゃんにも教えようと思ったんだけど」 「あー、ありがとう!」 この子とは話題が合って、話すのが楽しい。 昨日のドラマの話を2人でしていると、亜理紗ちゃんは前を指差して「先生きたよ」と教えてくれた。 ふと入り口を見ると担任の女の先生が教室に入ってきた。 「これって号令かけるべき?」 私は亜理紗ちゃんに尋ねる。 「あ、そうか、学級委員になったんだっけ」 「うん」 「言ってみたら?」 「よし・・・起立!」 私が号令をかけると、みんながガラガラと椅 子の音をたてて立ちあがったので、ちょっと安心した。 「あれ、蒼井くんがいないわね、休みかしら」 出欠確認をしていた先生の問いかけに「いや、俺見たぞー」とか「うん、めっちゃ早くきてた」とか次々に目撃情報がとびかった。先生も不思議そうな表情を浮かべる。 蒼井君と呼ばれるその人の席は、荷物も何も置いていなかった。 ・・・・・・じゃあ、何。幽霊?? な、わけないよね。 「じゃあ、何でいないのかしら?保健室かな」 「・・・あの先生、私、捜してきましょうか」 つい探しに行きたくなってそう私が言うと、先生はぱっと笑顔になった。 「あなた、学級委員さんよね。じゃあ捜してきてくれる?」 やったぁ! 私は、「言ってきます」と返事をし、席を立つと教室の後ろから そっと廊下にでた。 とりあえず私は探偵気取りで一階に向かって歩き出した。 「蒼井」だから一番最初か・・・・・・と思い昇降口。 確かにくつはある。
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