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 柳瀬には慎重に話さなければいけない。保全部ににらまれている自分はともかく、瑠子さまは将来女皇に即位されるかもしれないのだ。傷をつけるわけにはいかなかった。 「関係というような関係はありません。うちの一族が近衛(このえ)四家だったので、ちいさな頃いっしょに遊んでいただけです」  柳瀬が目を細めていった。 「近衛四家と皇族のお子さまたちは、兄弟のように育つと聞いたことがある。ともに遊ばせて、結束力を高めるそうだな」  タツオは父・逆島靖雄(さかしまやすお)中将からいい聞かされた言葉を思いだした。 「ぼくは3歳のときに父から教わりました。璃子(りこ)さま、瑠子さまといっしょにままごとをしていたのですが、なぜか父に呼ばれたんです。父はぼくの肩に手をおいていいました。いいか、タツオ、おまえはあのおふた方をお守りするために、命をかけるのだぞ。皇族に危険が迫ったときには、自分の命を捨てて盾(たて)になる。それが近衛四家の使命だ、と」
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