L学園

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『あら…、言ってなかったかしら、ごめんなさいね。実は、いつもは夏休み前にやるイベント、L学園三大イベントの中の一つ、ビッグトーナメントが、都合上夏休みに延期になってしまって…。』 シャルロットはわざとらしく首を傾げた。皆は信じられないという目でシャルロットを見る。それは僕も同じだ。 「くそっ…!そんなの聞いてねえよ…!こっちは寮になんか入る金はねえんだよ、どうにかしろよ!」 耐え切れず、一人の男子が声を発する。それを引き金に、男子から女子まで…、沢山の人が文句を喚いた。 シャルロットもここまでなるとは予想していなかったのか、顔には怒りが浮かんでいた。 『煩いなぁ…、カルネ!どうすんのよ…。』 シャルロットは面倒臭そうにカルネに話を回そうとしたが…、当のカルネは何処にも居なかった。 『くそ!あいつ何処行ったのよ!私の方が年上なんだからね?まぁ…いいけど。………黙りなさい貴方達!私に歯向かっていいと思っていらっしゃるのかしら?』 シャルロットはマイクで思いっきり叫ぶが、逆効果だったらしく、文句の声はより一層大きくなるだけだった。 そして…最悪な自体が起こった。シャルロットに向けて、誰かが魔法を放ったのだ。魔法はシャルロットには当たらなかったが…、体育館の壁を守っているシールドに当たって消えた。 それで…、シャルロットの堪忍袋の緒が切れたらしい。 『黙れよこのクズ共が…。弱い虫ケラのくせに私に歯向かうだと…!良い度胸してらっしゃいますのね…!』 マイクでシャルロットはそれだけ言うと、右手で紋を描く。皆は、それに気付かずに喚き散らす。 僕はシャルロットの描いた紋を見る。な…!?……まずい…あれは強力な魔法の紋だ…。ノーラやリリス、ウィルも気付いたらしい。僕は皆に頷いて、シャルロットが紋を放つまでにステージに登り、シャルロットの右手を抑えた。それを一瞬で。僕が使ったのは瞬間移動だ。転移魔法の超上級者向けの魔法で、転移魔法の時に形成しなければいけない魔法陣を、形成せずに転移する。転移魔法より、危険を伴うので、使う者は少ない。風紀委員のメンバーはこれを使っていつも、事件を解決してることが多い。
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