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ありがとう…ウィル。
「ん?なんか言ったか?」
ウィルが不思議そうにこっちを見た。心の中で思っただけだったのに、いつのまにか口に出ていたらしい
。
「いや…、なんでもないよ」
恥ずかしいから今はまだ言わないでおこう。
今は、まだ…。
『皆様、おはようございます』
不意にマイクの音声が体育館に響きわたる。
『皆様日々の活動お疲れ様です。本日はお集まり頂きありがとうございます。もうすぐ夏休みですね。ということで、我々生徒会の方から、夏休みの過ごし方や予定を話したいと思います。』
マイクの音声の主は…、生徒会長のカルネだ。体育館の前のステージの上に立っている。透き通るような白髪、世間一般からかっこいいと囃される顔…、黒縁眼鏡から覗く軽蔑したような目…。理事長の息子という肩書きを見せびらかしているこいつが僕は大嫌いだ。本当に。
『それでは、書記のシャルロットに代わります。』
生徒会長はそれだけ言うと、金髪の巻き髪…シャルロットにマイクを渡した。
姿からしてお嬢様風のシャルロットは、男子から人気があるらしい。まぁ、あの生徒会長のカルネも女子から物凄い人気があるらしいが…。興味は無いが。
シャルロットは、前髪を手で払うと、マイクを受け取り偉そうにステージの上から僕らを見下した。
俺とウィル以外の男子から溜息が漏れた。そんなに可愛いのだろうか…?良くわからない。
『皆さん御機嫌よう。生徒会長書記のシャルロットですの。知らない人はいないですわよね?くすっ…。今日は夏休みの予定を話しに私が来てさしあげましたの。夏休みは皆さん寮に入って貰いますわ。これは強制ですの。実家に帰ることは勿論禁止ですわ。』
シャルロットの言葉に、一同が驚いたように目を見開いた。僕も驚いた。実家に帰ることが禁止だと!?そんなの初めて聞いたしなんで駄目なんだ…!
シャルロットは、その反応を予測していたのかのように、くすりと笑う。
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