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あなたが僕に 見せてくれているのは それは綺麗な 上澄みです あなたの胸の内は 深くて 深くて 爪先立ちでも 覗けないけど 芳醇な 香りとともに こぼす言葉の 数々が キラキラしすぎて 作り物みたいだ もっと濃くて どろどろとした 沈澱物を 見せてください 長い間 奥底に こびりつき あなた自身 もう 手に負えなくて よく ムシャクシャしている あなたの 苦しむ姿は 苦しむ僕 そのものだから 持ち上げて 俯瞰させないで 突き放して 傍観させないで あなたの 美しさは 誰かに あげてしまっても いいけれど あなたの醜さは 誰にも 渡したくはない あなたが ひとりで 鏡を見つめる その顔を 僕だけに 見せてほしいのです
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