&I

8/102
前へ
/102ページ
次へ
暗くして… 君がそう望むなら イキ先などこの際 どこでもイイと 思えてしまう この暗闇の中で 昨日も明日も 忘れたフリして たがいの今だけ 見つめるフリして それでも ふやけてゆく呼吸と 髪と 声と 秒針に 深々と身をゆだね 香りが紅潮するまで 揺れる 小さなダブルの上 万年 口に含んだ 言葉の綾を 静かに飲み込んだら 口移しで囁く  情欲 溶けてなくなるまで ほとばしり 終われないでいる 早い夜明けが 春の終わりを知らせても 遮光の部屋に 陽だまりはなく だから もっと もっとと 欲しがる温もり 結露した窓の 冷えた水滴が 涙みたいで 涙みたいで
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加