第1章

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ホームルームが終わったあとの教室は、これからの予定を話す生徒の声でざわついている 梅雨があけて厳しくなる夏の熱気のなか、窓から吹き込んできた風が心地よい 「今日はどうする?」 「この前できたたこ焼き屋さん行こうよ!」 「この前貸したマンガ返せよ」 「わりぃ!いまねーちゃんが読んでてさ」 「はぁー。走り込み嫌だなぁ」 「グラウンド30周とか、ウォーミングアップの域越えてるよねー」 何ヵ所か自然に出来たグループから会話が聞こえる 4つ、5つに分かれたクラスの生徒たち そのなかで、私の周りだけ誰もいない 誰も来ないし、私自身誰かのもとへはいかないからだ 中学3年生の夏、受験まで半年ほどしか残されていない中学生活の終盤に差し掛かった時期になっても、クラスには馴染めなかった そもそも中学に上がってすぐ登校しなくなった私が、受験のためにと3年生になってから真面目に学校へ通い出したところで、たった2、3ヶ月で馴染めるわけがないのである
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