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その夜――。 こんな日に限って、親父が夕飯に客人を連れて帰宅した。 いつもは無言の食卓。 しかし今夜は仲睦まじい家族を演じることを余儀なくされる。 「――なあ、征司くん?」 客人が言った。 「おい征司!」 ぼんやりしている俺を咎める親父の冷たい声で、ふと我に返る。 「すみません。少し考え事を」 驚いて顔を上げると テーブルの向かい側――。
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