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「どっ・・・どうしたの・・・!?」
異変に気付いた香澄が声を上げた。
わずか数秒前まで笑っていたはずの咲良。
しかし今の彼女は、火葬場の先の山を見つめたまま目を大きく見開いている。
その直後、一筋の涙が彼女の頬を伝った。
―――どうしたんだ・・・?
俺は彼女の呟きに対し声を掛けようとしたが、飯沼がそれを無言で制止した。
彼は俺に耳打ちし、静かな口調でこう教えてくれる。
「咲良、震災で身内を亡くしてるんだ・・・。
どうやらそれから、時々唐突に誰かの気配を感じるらしいんだよ。」
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